Wi-Fiのより快適な利用のために導入したいのが、バンドステアリング機能付きのWi-Fiルーターです。自宅のWi-Fiが安定しない場合、周波数帯の混雑が原因となっているケースも多く、バンドステアリング機能の導入で解決する場合があります。
とくに多人数でWi-Fiを利用している場合、混雑する傾向は強いため「最近Wi-Fiがつながらなくなった」と悩んでいる方にはおすすめの機能です。
しかし「バンドステアリング」という言葉はやや専門的なこともあり、初めて耳にする方もいるかもしれません。
そこで本記事では、バンドステアリング機能に関する下記の内容について解説していきます。
● バンドステアリングとはどういう機能か
● バンドステアリング機能のメリット・デメリット
自宅のWi-Fi環境に悩んでいる方は参考にして、通信の問題を改善してみてください。
※本記事は2022年9月8日に更新されたものです。最新の状況とは異なる可能性があることをあらかじめご了承ください。
バンドステアリング機能とは?
バンドステアリングとは、Wi-Fiで利用する5GHzや2.4GHzの2種類の周波数帯を自動で切り替えてくれる機能のことです。
これらの2つの周波数帯の電波はそれぞれ異なる特徴を持っているため、この2種類を並行して利用することで、よりハイスピードで安定感のある通信が利用できます。
ここではバンドステアリング機能を導入することでどのような効果が実現できるのかを、詳しく解説します。
安定した通信に自動で切り替えてくれる機能
バンドステアリング機能では、2.4GHzと5GHzの2つの周波数帯を切り替えながら通信が可能です。各周波数帯につながっているスマホやPCなどの台数や、回線の混雑具合に応じて、自動的により安定した周波数帯へと接続を切り替えてくれます。
Wi-Fiルーターにはそれぞれの周波数帯で接続が可能な台数が設定されていますが、実際の接続台数がこの上限に近づくほど、回線は不安定になります。
バンドステアリング機能では、それぞれの周波数帯につながっている機器の台数を把握し、良好な通信品質が維持できるように、自動的に接続する周波数帯を調整してくれます。
状況に応じた周波数帯に自動で切り替えてくれる機能
バンドステアリング機能は、電波の状況に応じて周波数帯を自動で選択してくれます。バンドステアリングで使える2つの周波数帯には、特性の異なる2.4GHzと5GHzがあります。まず、2.4GHz帯の特徴は以下のようなものです。
● 障害物に強いため、Wi-Fiルーターから離れた別室からでも安定的に接続できる
● 周波数帯が近い機器の影響を受けやすい
そのため、部屋を自由に移動しながら使えますが、電磁波の周波数帯が近い電子レンジなどが近くにあると通信が途切れやすいです。また5GHz帯の特性には以下のようなものがあります。
● 通信速度が速く、他のデバイスや家電などに影響を受けにくい
● 障害物に弱く、ルーターから離れると通信が不安定になりがち
このようにそれぞれの周波数帯では得意な状況と不得意な状況がはっきりと異なります。
そのため通信しづらい状況になった場合は、バンドステアリング機能にて自動で他方の回線に切り替わり、通信品質を良好に維持してくれます。
バンドステアリング機能のメリット
ここからはバンドステアリング機能について、メリットを3つ解説します。
つながりにくい回線への接続を回避してくれる
バンドステアリング機能のメリットとしてまず挙げられるのが、回線のつながりやすさです。バンドステアリング機能はつながりにくい周波数帯への接続を自動で回避してくれるため、常に接続しやすい回線を優先的に利用できます。
スマホやPCから白物家電に至るまで、ここ数年でWi-Fiへの接続が飛躍的に進みましたが、ネットへの接続が混雑する場面も増えてきました。
バンドステアリング機能があれば、限りある接続台数のなかで接続する周波数帯に偏りが生じないよう自動調整してくれるため、より快適で安定した通信を利用できます。
周波数帯の混雑状況の確認が不要
通信回線が混雑してくると、周波数帯の確認が必要になりますが、バンドステアリング機能があれば、この確認が不要になります。
混み合い具合を自動で判断して周波数帯を切り替えてくれるため、本来ならユーザーが混雑状況を確認して接続する周波数帯を決めなければならないところをすべておまかせできます。
Wi-Fiを使っていてもその全員が通信回線に詳しいわけではないため、専門的な知識を必要とすることなく最適な通信が実現できるのは大きなメリットです。
ベストな回線や周波数帯へ接続して通信を常に安定化できる
ベストな周波数帯への接続を維持することで通信を常に安定化できるのも、バンドステアリング機能の大きなメリットのひとつです。
全体の接続を最適化できるためパフォーマンスが安定し、そのWi-Fiに接続するユーザー全員がより通信しやすくなります。
とくにありがちなのが全体調整の役割が不在の場合、個々のユーザーが自己の行動を優先させた結果、全員の使いやすさが損なわれてしまうことです。
接続の全体調整をバンドステアリング機能にまかせることで、労力をかけることなく全体として最も安定化する通信を実現できます。
バンドステアリング機能のデメリット
メリットの多いバンドステアリング機能ですが、デメリットがまったくないわけではありません。
ここからはバンドステアリング機能のデメリットについて詳しく解説していきます。
バンドステアリング機能対応のルーターが必要
バンドステアリング機能を使うためには、対応するWi-Fiルーターが必要です。2.4GHzと5GHzの2種類の周波数帯に対応したWi-Fiルーターで初めて利用が可能になる機能であり、非対応のルーターしかない場合は、機器を買い替えなければなりません。
また新規に購入する場合も、バンドステアリング機能に対応したものを選ぶ必要があります。
対応のルーターの価格が高い
バンドステアリング機能付きのWi-Fiルーターは、非対応の製品と比較して価格が高めです。非対応のものであれば数千円から購入できますが、バンドステアリングに対応した機種は1万円以上するものがほとんどです。
バンドステアリングは非常に便利な機能ではありますが、費用がかかりがちな点はデメリットといえます。
バンドステアリング機能を有効にしないと帯域の切り替えができない
製品にもよりますが、購入時の状態ではバンドステアリング機能が有効化されてない場合があります。その場合は購入者が自分で有効化の設定を進めなくてはなりません。
もちろんマニュアルは製品に付属しますが、自分で読み進めて設定するという作業が苦手な人にとっては負担となってしまいます。
バンドステアリング機能の設定手順
ここからはバンドステアリング機能の設定の手順を解説します。バンドステアリング機能の設定はWi-Fiルーターの設定画面にログインして、設定画面で機能をオンにするのみです。
Wi-Fiルーターの初期設定はメーカーによって異なります。もちろん初期状態で機能がオンになっていれば、これから解説する作業は必要ありません。さほど難しい作業ではないので、ぜひ付属のマニュアルを読みながら進めてみましょう。
手順1.Wi-Fiルーターの設定画面にログイン
まず、Wi-Fiルーターの設定画面にログインします。ルーターの設定画面には、ブラウザからIPアドレスを打ち込みアクセスしてください。
バッファロー製のルーターなら「192.168.11.1」、エレコム製なら「192.168.2.1」など、メーカーによってIPアドレスは異なるのでマニュアルで確認しましょう。またログインの際には、ユーザー名とパスワードが必要になります。
初期状態の場合は初期ユーザー名とパスワードが設定されていますが、これも各メーカーによって文字列は異なります。マニュアルまたはセットアップカードに記載されているため、そちらに記載の内容を入力します。
ユーザー名とパスワードを変更した場合は、変更後の内容を入力してログインします。
手順2.設定画面で「バンドステアリング機能」を有効にする
ログインしたら、設定画面の項目でバンドステアリング機能を有効にします。
設定画面の項目はメーカーやルーターのモデルによって異なりますが、マニュアルを参考にバンドステアリング機能を有効にしてください。設定を変更したら、変更を保存して終了です。
Wi-Fiルーターの種類
Wi-Fiルーターには自宅などで使用する「据え置きタイプ」と、持ち運びが可能な「モバイルタイプ」があります。ここではそれぞれのタイプについて解説します。
据え置きタイプ
据え置きタイプは、自宅や職場など、屋内での使用を目的としたタイプのルーターです。据え置きでの使用が想定されているため大型で、主に机上や台上に置いて使用します。
また電源も常時コンセントに接続することが前提となっており、一度設置したら引っ越しや部屋のレイアウト変更など以外で場所を移動することはほとんどありません。
なお据え置きタイプのルーターには、有線接続が必要なものと不要なものの2種類があります。有線接続が必要なものは、壁面のLANポートからLANケーブルで接続して、主に光回線の固定回線で使用するタイプです。
また有線接続が不要なものには、WiMAXなどのモバイル回線を使用するものがあります。
WiMAXは本来、モバイル用途での使用が中心の回線でルーターもモバイル用がメインです。しかし、ルーターを屋内向けにして据え置きで使える「ホームルーター」と呼ばれるタイプの製品も出ています。
外観も据え置きタイプのルーターとほぼ同じですが、モバイル回線を使用するため、LANポートと接続しなくてもよく、設置場所の自由度が高いのというメリットがあります。
また、据え置きタイプのルーターは同時接続台数も多いため、多人数での利用にも向いています。
モバイルタイプ
モバイルタイプは、外出先での使用を目的に設計された、持ち運びが可能なタイプのWi-Fiルーターです。本体も小型でバッテリーが内蔵されているため、屋外へ持ち出して利用できます。
モバイルタイプのWi-Fi-ルーターはモバイル回線を利用するため、回線のエリア内であれば基本的にどこでも通信が可能です。
しかし、建物内や地下などの電波の届きにくい場所では、通信が不安定になる場合があるため、注意が必要です。またモバイルタイプのルーターは同時接続数が少ないものが多く、接続数が10台前後の製品が主流です。
バンドステアリング機能対応のおすすめルーター8選
ここからは、バンドステアリング機能が使えるおすすめのルーターを紹介していきます。
WSR-A2533DHP2(バッファロー)
大手メーカーのバッファロー社によるWSR-A2533DHP2はバンドステアリング機能を搭載したルーター です。製品のスペックは下記のとおりになります。
製品名 | WSR-A2533DHP2 |
Wi-Fi規格 | IEEE802.11ac |
アンテナ数 | 4×4 |
最大通信速度(5GHz) | 1,733Mbps |
最大通信速度(2.4GHz) | 800Mbps |
同時接続数 | 推奨18台 |
WSR-A2533DHP2はIEEE802.11ac規格により、理論値で1,733Mbpsもの高速通信が可能です。またビームフォーミング機能などに加えてバンドステアリングLiteも搭載しています。
実売価格が1万円以下と比較的購入しやすい価格なので、買い替えにもぴったりの1台です。
なお現在、本製品は製造を終了していますが、後継機のWSR-A2533DHP3が販売されています。
Aterm WX5400HP PA-WX5400HP (NEC)
NECから2022年より発売された機種「Aterm WX5400HP PA-WX5400HP」には、バンドステアリングをはじめあらゆる機能が搭載されています。基本的なスペックは下記のとおりです。
製品名 | Aterm WX5400HP PA-WX5400HP |
Wi-Fi規格 | IEEE802.11ax |
アンテナ数 | 4×4 |
最大通信速度(5GHz) | 4,804Mbps |
最大通信速度(2.4GHz) | 574Mbps |
同時接続数 | 推奨36台 |
アンテナ内蔵のシンプルでコンパクトなルーターで、上部にメッシュ構造を採用しているのが特徴です。メッシュ構造によって熱を逃がしやすいうえに、高速のWi-Fi6を広いエリアに活用できるようになっています。
高度なセキュリティ機能も充実しており、リモートワークでWi-Fi通信を利用する場合に安心できる点も魅力的です。自宅で高速通信を安全に利用したいのであれば、おすすめできるルーターといえるでしょう。
WRC-2533GS2(エレコム)
WRC-2533GS2はエレコム社製のWi-Fiルーターです。製品のスペックは下記のとおりです。
製品名 | WRC-2533GS2 |
Wi-Fi規格 | IEEE802.11ac |
アンテナ数 | 4×4 |
最大通信速度(5GHz) | 1,733Mbps |
最大通信速度(2.4GHz) | 800Mbps |
同時接続数 | 推奨24台 |
WRC-2533GS2もIEEE802.11acに対応しており、高速での通信が可能です。また同時接続数は推奨24台のため、多人数での使用を想定している方にもおすすめです。
またエレコム社は国産メーカーということもあり、より高い安全性を求める方にもおすすめの製品です。
WRC-X6000XS-G (エレコム)
WRC-X6000XS-Gはエレコム社製のバンドステアリング対応のWi-Fiルーターです。製品のスペックは下記のとおりです。
製品名 | WRC-X6000XS-G |
Wi-Fi規格 | IEEE802.11ax |
アンテナ数 | 4×4 |
最大通信速度(5GHz) | 4,804Mbps |
最大通信速度(2.4GHz) | 1,147Mbps |
同時接続数 | 推奨42台 |
アンテナ内蔵型のシンプルなデザインが特徴です。また、Wi-Fi6対応しており安定した通信が可能になっているだけでなく、有線10Gサポート機能を搭載することでひかり回線などの通信サービスをフル活用できます。
4Kや8Kといった高画質動画の視聴や、インターネットゲームでも快適に利用したい場合におすすめのルーターです。
AirStation WSR-1800AX4S/DBK(バッファロー)
AirStation WSR-1800AX4S/DBKはバッファローが手掛けるバンドステアリング機能搭載のWi-Fiルーターです。製品のスペックは下記のとおりです。
製品名 | AirStationWSR-1800AX4S/DBK |
Wi-Fi規格 | IEEE 802.11ax |
アンテナ数 | 2×2 |
最大通信速度(5GHz) | 1,201Mbps |
最大通信速度(2.4GHz) | 573Mbps |
同時接続数 | 推奨14台 |
AirStation WSR-1800AX4S/DBKは広範囲の通信を可能にするメッシュ機能や、通信を安定させるWi-Fi6、セキュリティ機能などルーターとしての基本的な機能を備えています。
動画視聴やSNSの閲覧などのプライベートでの使用はもちろん、自宅で仕事をする場合でも快適に過ごせるルーターといえるでしょう。
ArcherC5400X(TP-Link)
ArcherC5400Xは、中国の深圳(シンセン)に本拠地を構えるTP-LINK社のWi-Fiルーターです。製品のスペックは下記のとおりです。
製品名 | ArcherC5400X |
Wi-Fi規格 | IEEE802.11ac |
アンテナ数 | 8×8 |
最大通信速度(5GHz) | 2,167Mbps |
最大通信速度(2.4GHz) | 1,000Mbps |
同時接続数 | 最大64台 |
ArcherC5400Xは、ゲーマー向けに開発されたWi-Fiルーターで、クラウドゲーミングに対応できるよう、低遅延での通信を実現した製品です。ゲームモードに設定することで接続端末に優先順位を設定できるため、接続台数の多い環境下でも高速にゲームをプレイできます。
また通信速度も最大で2,167Mbpsとかなりの高速通信が可能で、8本のアンテナにより最大64台もの同時接続も可能とハイスペックな仕様が魅力のWi-Fiルーターです。
TUF-AX5400 (ASUS)
TUF-AX5400はASUS社のバンドステアリング搭載のWi-Fiルーターです。製品のスペックは下記のとおりです。
製品名 | TUF-AX5400 |
Wi-Fi規格 | IEEE8 802.11ax |
アンテナ数 | 3×3 |
最大通信速度(5GHz) | 4,804Mbps |
最大通信速度(2.4GHz) | 574Mbps |
同時接続数 | 推奨70台 |
適切なポート開放をしてくれる「Open NAT」ゲーミング機能、VPNに対応していない機器をVPN接続させる「VPNフュージョン」機能など、ゲーム好きやIoTデバイス接続したい方におすすめできます。
ArcherC2300(TP-Link)
TP-LINK社の製品、ArcherC2300もおすすめのルーターです。製品のスペックは下記のとおりです。
製品名 | ArcherC2300 |
Wi-Fi規格 | IEEE802.11ac |
アンテナ数 | 3×3 |
最大通信速度(5GHz) | 1,625Mbps |
最大通信速度(2.4GHz) | 600Mbps |
同時接続数 | 推奨18台 |
ArcherC2300は実売価格1万4,000円程度ながらも、高性能のスペックが魅力のWi-Fiルーターです。アンテナ数は3ストリームとひかえめながらも、数十台もの端末をさばける高性能CPUを搭載しているのが特徴です。
ゲームや4K動画の視聴など、高負荷通信にもばっちり対応できるおすすめのWi-Fiルーターです。
バンドステアリング機能対応ルーターの無料レンタル
各Wi-Fiプロバイダでは、Wi-Fiルーターの無料レンタルを行なっている場合があります。レンタル可能なルーターのなかには、バンドステアリング機能に対応したものもあるため、ぜひチェックしてみましょう。
たとえばドコモ光をGMOとくとくBBから申し込むと、バンドステアリング機能付きのWi-Fiルーターを無料レンタルできます。ドコモ光ではおすすめのルーター紹介でも触れた製品を含む、下記の3モデルがレンタル可能です。
● WSR-2533DHP3(バッファロー)
● AtermWG2600HS2(NEC)
● WRC-2533GST2(エレコム)
バンドステアリング機能対応ルーターを選ぶ時のポイント
バンドステアリング機能に対応するルーターを選ぶ際に気にしておきたいポイントは次の3つです。
● ルーターの規格
● アンテナの数
● そのほかの便利機能
使いやすさに直結する部分なので、自身の使い方と相談しながら決めていくとよいでしょう。
ルーターの規格
Wi-Fiには通信の規格があり、購入するWi-Fiルーターが対応していないと通信できません。Wi-Fiの通信規格には「IEEE802.11」と呼ばれ、11のあとに「11a」「11b」のようにアルファベットが続きます。
現在販売されている一般的なWi-Fiルーターでは、「11a」「11b」「11g」「11n」「11ac」「11ax」に対応しており、それぞれ対応する周波数帯と通信速度が異なります。
「11a」「11ac」は5GHz帯に対応しており、「11b」「11g」は2.4GHzに対応、「11n」「11ax」は5GHzと2.4GHzの両方に対応しています。
「11ax」は上記のなかでは最新の規格で、最大通信速度が9.6Gbpsの高速通信が可能です。
なおこれらの規格は接続するデバイス側も対応している必要があります。
また逆にデバイス側が最新の規格に対応していても、Wi-Fiルーター側で最新規格に対応していなければせっかくの最新規格も力を発揮できません。Wi-Fiルーター購入時は、最新の規格にまで対応しているかをチェックしておくと安心です。
アンテナの数
アンテナの数もWi-Fiルーターにとって重要な要素です。アンテナとは本体に付属する通信を送受信するためのパーツで、内蔵アンテナと外部アンテナの2種類があります。
外部アンテナは本体から角のように突き出ているため、見た目としてわかりやすいのが特徴で、角度や向きを変えられるため、電波環境の改善により向いています。
一方の内蔵アンテナは本体の内部にアンテナが収納されていて、どういった部屋にも馴染みやすいのが特徴です。
アンテナの数はWi-Fiルーターで通信できる経路(ストリーム)の数で、基本的には多いほど接続台数が増え、通信速度もよくなります。
たとえば「アンテナ4×4」と表記されていれば、送信アンテナと受信アンテナの本数がそれぞれ4つで、4本の通信が可能であることを示します。
「アンテナ4×4」は「4ストリーム」と記載されていることもあり、表記は違いますが意味は同じです。アンテナの本数は多いほど通信が安定し、速度も速くなります。
また同時に利用できる台数も増えるため、複数人でWi-Fiを利用する場合はアンテナ数もよく考慮する必要があります。
そのほか考慮することと便利な機能
ほかに考慮しておきたい機能が、ビームフォーミングとオートチャネルセレクトです。ビームフォーミングはアンテナから指向性の強い電波を送信することで、より障害物の影響を受けにくい通信を可能にする技術です。
Wi-Fiルーターから離れた場所での通信が多い場合は、導入検討の価値のある機能です。
またオートチャネルセレクトは、通信の混雑状況に応じて、自動的に電波状態のよいチャネルに割り当てしてくれる機能です。オートチャネルセレクトがうまく機能することで、通信がより安定化し、高速な通信が可能になります。
チャネルとは通信に用いる周波数帯を分割したもので、それぞれに各デバイスが割り当てられることで電波干渉を回避しながら通信できます。
バンドステアリング機能が必要なケース
バンドステアリング機能が必要なケースにはどういったものがあるでしょうか。ここではバンドステアリングの導入を検討した方がよいケースを見てみましょう。
下記に当てはまる場合は、バンドステアリング対応ルーターの導入を検討した方がよいでしょう。
● 3人以上で同居してWi-Fiを共有している
● 多くのデバイスをWi-Fiに接続している
● 自宅の無線LANルーターから離れた場所で作業することがある
● 周波数帯の手動切り替えが面倒
3人以上の同居でWi-Fiを共有している
3人以上の同居でWi-Fiを利用している場合、ルーターによっては回線が混雑してしまう可能性があります。
とくに最近では1人1台スマホを持つのが当たり前なうえ、そのほかにもPCやタブレットなど、Wi-Fiへの接続が必要な機器が家庭内にたくさん存在します。
また家電などでもインターネットにつながっているものも多いため、潜在的に回線を圧迫してしまうものも増えています。
接続に偏りが生じることで回線が不安定になりがちな場合は、バンドステアリング機能付きのルーター購入をおすすめします。
多くのデバイスをWi-Fiに接続している
1人暮らしでも、たくさんのデバイスを持っている人は要注意です。最近ではWi-Fi接続が可能なデバイスも多く、特定の周波数帯に接続が集中し、回線に負荷をかけている場合があります。
通信が不安定になることにより自動で再接続を繰り返して、さらに通信が不安定になりがちなため、バンドステアリング機能を持つルーターに接続の管理を任せるのがおすすめです。
自宅の無線LANルーターから離れた場所で作業することがある
無線LANルーターから離れた場所で作業することのある人にも、バンドステアリング機能はおすすめです。
無線LANルーターから離れると通信は不安定になりがちで、とくに5GHz帯は障害物や遮へい物に弱く、部屋や壁の位置によっては一気に回線スピードが下がってしまいます。
このようなケースでも、バンドステアリング機能では通信と電波の強弱を自動判断して、周波数帯をつなぎ変えてくれます。そのため、インターネットが不安定になるストレスに悩まされることがありません。
手動切り替えが面倒
とくに前述のように電波の届きにくい場所に移った場合でも、自分でデバイスの接続先の周波数帯を切り替えることはできます。
無線LANルーターに近い場所では5GHzにしておき、部屋を移動したら2.4GHzに設定を変更すればよいのですが、何度も部屋を行き来するようなケースを考えると、手動による変更はやはり面倒です。
また複数人で利用している場合は、自分以外の利用者にも面倒な手動変更してもらうことになります。明らかに非効率で全体の接続状況としても最適化されにくいため、バンドステアリング機能による一括管理がおすすめです。
バンドステアリング機能関連のトラブル
次に、バンドステアリング機能に関連するよくあるトラブルについて解説します。
バンドステアリング機能が切れる
Wi-Fiを使用している場合、電波を発する機器が近くにあると電波の干渉によって接続が切れてしまうことがあります。
また、電波の干渉の影響を受けやすいのは2.4GHz帯ですが、バンドステアリングはユーザーが認識していない間に自動で帯域が切り替わるため、自分の接続が現在どちらのものかを認識しづらいという問題もあります。
接続が切れやすい場合は、他の電波の影響を受けやすい2.4GHzの利用を一度やめて、もう一方の5GHzに固定したうえでしばらく様子を見てみるのがおすすめです。
バンドステアリング機能による接続が不安定
バンドステアリング機能の接続が不安定な場合は、周波数帯の特性によって問題が生じている可能性と、バンドステアリング機能自体の問題の2つの可能性が考えられます。
周波数帯によって問題が生じている可能性として考えられるのは、バンドステアリングによる周波数帯の切り替えが、物理的な環境にマッチしていないという状況です。
たとえばバンドステアリング機能で2.4GHzから5GHzに切り替わったところ、接続しているデバイスが5GHzの苦手な障害物の向こうに位置している場合、通信がかえって不安定になってしまいます。
反対に5GHzから2.4GHzに切り替わったときに、デバイスの位置が電子レンジやテレビの近くにあると接続は不安定になってしまいます。
また、ルーターの機器内でバンドステアリング機能に障害が起きている可能性もあります。ただし機器的なトラブルの場合は外からの判断がつきづらいため、修理対応等も含めた対応になる可能性があります。
こうした周波数帯の問題を取りのぞいた後も通信の不安定さが変わらない場合は、故障の可能性もありえるので、メーカーの窓口に問い合わせてみてください。
バンドステアリングLiteの解説
バッファロー社の製品には、「バンドステアリングLite」と呼ばれる機能が用意されています。このバンドステアリングLiteは、バンドステアリング機能の簡易版として開発されたものです。
簡易版とはいえ、機能がしぼりこまれた結果、通常版とはまた異なった使いやすさもあり、慣れていない方にとってはおすすめのバージョンです。
バンドステアリングLiteの特徴
バンドステアリングLiteはバンドステアリング機能の簡易版で、通常版から選択肢を制限することで初心者にも使いやすくしたものです。
細かい設定はできませんがその分わかりやすさがあり、また接続の切り替えが頻繁に起こる設定項目がないため、通信の状態が変わりにくいのが特徴です。
バンドステアリングLiteの特徴として代表的なのが以下の3点です。
● 接続の条件が自動(混雑していない帯域を利用)のみ
● 同じSSID間でしか周波数帯が切り替えられない
● 自動接続の切り替えタイミングの設定が電波強度のみ
次では本家のバンドステアリング機能と比較しながら、バンドステアリングLiteの機能を見ていきましょう。
バンドステアリングとの違い
バンドステアリング機能とバンドステアリングLiteを一覧で比較してみると以下のようになります。
バンドステアリング | バンドステアリングLite | |
ステアリング設定 | • 混雑していない帯域を利用する • 混雑状態にかかわらず常に5GHz帯を優先する • 2.4GHzの混雑時に5GHzに接続する | 混雑していない帯域を利用する |
対象SSID | すべてのSSID | 共通SSIDのみ |
混雑状況モニター | ◯ | × |
帯域切り替え基準 | • 電波強度 • 混雑状況 • 接続台数 | 電波強度のみ |
まず注目したいのがステアリング設定の条件の種類で、通常のバンドステアリング機能では2つの周波数帯のどちらを優先するのかを設定できます。
しかしバンドステアリングLiteで設定できるのは「混雑していない帯域を利用する」のみで、どちらか指定した一方の周波数帯を優先するといった接続設定はできません。
しかし不要な偏りが発生しないため、ステアリング設定が原因となる接続の不安定さは発生しづらいともいえます。
またバンドステアリングの対象にできるSSIDにも違いがあります。通常のバンドステアリングでは異なるSSID間でも可能ですが、バンドステアリングLiteでは共通のSSID間のみにしか対応していません。
またバンドステアリングLiteでは、混雑状況をモニター確認できないほか、帯域の切り替え基準も電波強度によるもののみとなっています。
このようにバンドステアリングLiteは通常のものと比較しても機能は限定的です。
しかし、これもステアリング設定が混雑していない帯域に均等に振る設定になっているためで、偏りがないだけ混雑状況や接続台数を理由とした接続の切り替えを考える必要がありません。
また切り替え基準が少ないことから、帯域の自動変更がないのも安定した通信のための利点となっています。
細かく設定したい人には不向きですが、バンドステアリングに慣れていないユーザーにとっては把握しやすいシンプルさも使いやすい仕様です。
まとめ
Wi-Fiのバンドステアリング機能について解説しました。初心者の方にとっては、バンドステアリング機能はややハードルが高く感じられるかもしれませんが、上手に設定することでよりWi-Fiが利用しやすくなります。
自宅でのWi-Fi利用が増えた結果、通信の不安定さに悩まされている方も多いかと思いますが、ぜひ本記事を参考にバンドステアリングの導入を検討してみてください。
コメント