
ポケット型Wi-Fiとは?今さら聞けないメリット・デメリットを解説

リモートワークやオンライン授業など新たな生活様式が求められるなか、職場や自宅以外の場所でWi-Fiを利用する機会も増えてきました。働き方や学習の場の自由度が増した一方で、職場や自宅外でのWi-Fiの利用の仕方に悩んでいる方も多いのではないかと思います。
自前で準備できる屋外でのWi-Fi環境としておすすめしたいのが、ポケット型Wi-Fiです。Wi-Fi環境を持ち歩くことができるため、リモートでのインターネット利用が多い方にとっては必携ともいえるアイテムです。
しかしポケット型Wi-Fiに馴染みがなく、どういったものかわからない、どのように導入すればよいのか判断できないという方も多いのではないかと思います。
そこで本記事では、ポケット型Wi-Fiとはどういったものなのか、またポケット型Wi-Fiのメリットとデメリットについて解説します。
初めての方でもわかるように基本から詳しく解説するので、ぜひこの機会にポケット型Wi-Fiへの理解を深めていただければと思います。
またおすすめのポケット型Wi-Fiについても紹介するので、導入の際の参考にしてください。
※本記事は2022年11月21日に更新されたものです。
現在の状況とは異なる可能性があることをあらかじめご了承ください。
目次
ポケット型Wi-Fiとはモバイルルーターのこと
ポケット型Wi-Fiとはひと言でいうと、モバイル型のWi-Fiルーターのことです。
本来は屋内用として据え置きで使うWi-Fiルーターを持ち運べるように小型化したものをモバイル型のWi-Fiルーターといい、直接LANケーブルに繋ぐことなく、モバイル回線によって無線でインターネットに接続できるのが特徴です。
固定回線とは異なり、モバイル回線には接続できる対象エリアがありますが、現在ではほとんどのポケット型Wi-Fiで人の居住する市街地をカバーしています。
ポケット型Wi-Fiを指す場合は「モバイル型ルーター」「モバイル型Wi-Fi」と表記することが多く、本記事ではこれらを「ポケット型Wi-Fi」と表記して進めていきます。
ポケット型Wi-FiとはWi-Fiをどこでも使えるサービス
ポケット型Wi-Fiは携帯用のWi-Fiルーターにより、場所を問わずどこでもWi-Fiを使えるのが特徴です。
普段、自宅や職場などで使用している光回線のWi-Fiルーターは、屋外から引き込まれたインターネット回線から壁面のジャックを通してLANケーブルで接続されています。またルーターはその場での使用を前提としているため、コンセントを使って給電します。
そのため、光回線のルーターは建物の外に持ち出すことはできません。Wi-Fiを利用できるのは、室内に置かれたルーターからの電波の届く範囲に限られてしまいます。
しかしポケット型Wi-Fiは小型かつ軽量でどこにも持ち出せるうえ、無線でインターネットに接続できます。もちろんバッテリーによりコンセントも不要で、利用する場所を問いません。
ポケット型Wi-Fiルーターが無線でインターネットに接続できるのは、モバイル用の回線を使用しているためです。
ただし注意しておきたいのは、下記の2点。
● ポケット型Wi-Fiが使えるのはモバイル回線のエリア内
● 建物の中や地下などの電波が届きにくい場所では通信できないことがある
無線で通信するしくみのため、対象エリアであること、電波が良好であることが使用の前提となります。
ポケット型Wi-Fiは他のWi-Fiと何が違う?
インターネットを利用する場合、ポケット型Wi-Fi以外にもインターネットに接続できるしくみがあります。
例を挙げると以下のような方法があります。
● スマホを使ったテザリング
● 光回線などの固定回線
● ホームルーター
これらはどれもインターネットに接続できるという点では同じですが、ポケット型Wi-Fiも含めてインターネットに接続するしくみとその特性が異なります。
ここでは、ポケット型Wi-Fiと上記のそれぞれの方法との違いについて詳しく解説します。
テザリングとの違い
屋外で簡単にインターネットに接続する方法として、スマホを使ったテザリングがあります。テザリングとは、端末とスマホを無線で接続して、スマホの4G回線を使ってインターネットに接続する方法です。
スマホがポケット型Wi-Fiルーターの代わりになっているようなかたちで、スマホのパケットを使って通信を行います。そのため、スマホで契約しているプランのデータ通信量の範囲内で、インターネットを利用できます。
テザリングはほかの機器を必要とせずに簡単にインターネットに接続できるため、屋外で手軽にインターネットを使いたいユーザーに人気の接続方法です。
ポケット型Wi-Fiルーターを契約する必要がなく、ルーターを持ち歩く必要がないのはメリットといえます。
ただし、テザリングには下記のようなデメリットもあります。
● スマホのデータ通信量を消費してしまう
● スマホのバッテリーを消費してしまう
とくにスマホの利用に影響してしまうことが多く「気づいたらスマホのバッテリーがほとんどなかった」「スマホのデータ通信量を使い切ってしまった」ということにもなりかねません。
テザリングはあくまでライトユーザー向けであり、たまにしか外でインターネットを利用しない人向けの機能となっています。したがって、モバイルでのインターネット利用を本格的に考えている人にはやや向かない機能です。
固定回線との違い
固定回線はデータ通信量に制限がないというメリットがあります。
容量を気にせず安定した通信を使えるので、とことんインターネットを楽しみたい人は、固定回線がおすすめです。とくに動画配信サービスなどの大容量のデータの利用が多い場合は、データ通信量に制限のない固定回線が必須といえます。
また固定回線は通信の応答速度が速いのも特徴です。レスポンスの速さが重要なオンラインゲームでも固定回線での接続は必須といえ、とくに応答速度がプレイに直結するFPSなどの対戦系のゲームでは、よりよい品質の固定回線を用意することが重要になってきます。
固定回線のデメリットとしては、下記の3点が挙げられます。
● 利用のために開通工事が必要
● 常時コンセントからの給電が必要で、据え置きでの利用が前提
● インターネット回線とルーター間はLANケーブルでの有線接続が必須
固定回線は開通工事が必要です。とくに2〜4月、7月の引っ越し時期は繁忙期のため、1か月以上の工事待ちを強いられるケースが少なくありません。
またルーターはバッテリー駆動ではないため、常にコンセントと繋いでおく必要があります。同様にルーターとインターネット回線は有線で接続するため、壁面のジャックとの間をLANケーブルで直接接続する必要があります。
もちろん持ち歩きはできないため、屋内での利用が中心です。
ホームルーターとの違い
ホームルーターとは、自宅で利用する据え置き型のルーターのことです。固定回線で利用する据え置き型ルーターをホームルーターと呼ぶこともありますが、ここでは「モバイル回線を利用する据え置き型のルーター」と定義します。
このホームルーターはモバイル向けのポケット型Wi-Fiに対して、自宅向けの用途に適した据え置き型の形状をしています。そのため見た目は固定回線で利用するルーターと似ています。
ただし、ホームルーターは壁面からのLANケーブルの接続が不要な点で、固定回線とは異なります。
ホームルーターはポケット型Wi-Fiと同様に、モバイル回線を利用してインターネットに接続します。そのため、壁まで引き込まれた光回線などと直にケーブルで繋ぐ必要がありません。
また固定回線と異なり、利用のための開通工事も必要ありません。
このように手軽さという点ではメリットの多いホームルーターですが、下記のようなデメリットもあります。
● 契約プランによってはデータ通信量に制限がある
● モバイル回線を利用するため、応答速度や通信の安定性が今ひとつ
くわえて固定回線とは異なり、完全に無制限でデータ通信できるわけではありません。通信できるデータ量は、ポケット型Wi-Fiでの契約プランの内容によります。
ポケット型Wi-Fiのメリット
ここからはポケット型Wi-Fiのメリットについて解説します。
ポケット型Wi-Fiのメリットは、主に下記の4点です。
● 室外でもWi-Fiが使える
● 工事・設定が簡単ですぐに利用できる
● 料金が安い傾向にある
● 解約しやすいものもある
それぞれ詳しく解説します。
室外でもWi-Fiが使える
ポケット型Wi-Fiの最大のメリットのひとつが、室外でもWi-Fiが使えるということです。
モバイル回線を使用するポケット型Wi-Fiは固定回線と異なり、LANケーブルに接続する必要がありません。またポケット型Wi-Fiはルーターにバッテリーが搭載されているため、コンセントによる常時給電は不要です。
固定回線で使われる据え置き型のルーターと異なり、好きな場所に持ち出してどこでもインターネットに接続できるのは大きなメリットです。
工事・設定が簡単ですぐに利用できる
利用にともなう開通工事が不要なのも、ポケット型Wi-Fiのメリットのひとつです。
固定回線の場合は開通工事が必要な場合が多く、工事によって利用できるようになるのかの確認も含めて、開通までに時間がかかります。引っ越し時期などの繁忙期では、開通までに1か月以上待たされることも珍しくありません。
その点、ポケット型Wi-Fiは利用を始めるまでが早く、届いたWi-Fiルーターの電源を入れればすぐに使い始められます。申し込んでから利用開始までが早いので、固定回線が開通するまでのつなぎとして利用するのにも適しています。
また、ポケット型Wi-Fiは接続設定が簡単なのもメリットのひとつです。固定回線と比較すると下記のような難しい配線や設定は必要ありません。
● 壁面とモデムやONU(光回線終端装置)の接続
● モデムやONUとWi-Fiルーターの接続
● Wi-Fiルーターの設定
ポケット型Wi-Fiでは細々とした難しい設定をする必要がなく、接続する端末のWi-Fi設定からポケット型Wi-FiのSSIDにパスワードを入力するだけで、簡単にインターネットに接続できます。
料金が安い傾向にある
ポケット型Wi-Fiは月額料金を安く抑えやすいのもメリットのひとつです。
具体的には下記の3つの点でコストを抑えられます。
● スマホ代とポケット型Wi-Fiの併用でスマホの料金を抑えられる
● スマホ代とポケット型Wi-Fiのキャリアが同じ場合、基本料金が割引されることがある
● 固定回線と異なり開通工事の費用がかからない
まずメリットのひとつとして、スマホの通信料金を下げられることが挙げられます。これまで利用していたスマホの大容量プランをやめてポケット型Wi-Fiでのインターネット使用をメインにすることで、スマホ代を節約できます。
また、これまでスマホで行っていたインターネットの利用を、PCとポケット型Wi-Fiでの利用に切り替えることでもスマホの通信費用を節約できます。
同様にスマホの4G回線を使わず、ポケット型Wi-Fiに接続してインターネットを利用することでも、スマホでの通信が節約可能です。
また、大手携帯キャリア傘下のポケット型Wi-Fiの場合、スマホ代とポケット型Wi-Fiの組み合わせで月額料金が割引される場合があります。このような割引をうまく使うことで、スマホ代とポケット型Wi-Fi代の総額を安くできます。
さらに、ポケット型Wi-Fiは固定回線のような開通工事も不要です。
固定回線の場合は開通工事を行う必要がありますが、工事費用として15,000円前後かかるのが一般的です。利用を開始するだけで高額の費用がかかってしまいますが、ポケット型Wi-Fiではそのようなコストは必要ありません。
解約もしやすいものもある
ポケット型Wi-Fiのなかでもとくに人気を集めているのが「契約期間の縛りなし」「解約金(違約金)なし」のポケット型Wi-Fiです。契約期間がないことからいつ解約してもよく、解約金がかからないのが特徴です。
光回線などの固定回線の場合は、2〜3年の契約期間を設けていることが多く、その期間内に解約すると高額の解約金が発生します。これはポケット型Wi-Fiでも同様ですが、ポケット型Wi-Fiでは契約期間の縛りのないサービスが増えており、解約金がありません。
また固定回線との比較でいえば、解約後の乗り換えで発生するコストにも違いがあります。
光回線などの場合は解約後の乗り換えで再度の開通工事が必要になる場合があります。もちろん別途工事費用が発生することになり、乗り換えにかかる費用が増えてしまいます。
しかしポケット型Wi-Fiはそもそも工事が必要ありません。工事不要で利用を始められるため、解約後に別のWi-Fiに契約しても、費用は新規契約と変わりません。
ポケット型Wi-Fiのデメリット
メリットの多いポケット型Wi-Fiですが、デメリットがまったくないわけではありません。ここではポケット型Wi-Fiを利用するうえで注意しておきたいデメリットを紹介します。
具体的には以下の3点です。
● データ通信量に応じた速度制限がある
● 接続台数に限りがある
● ルーターを充電する必要がある
それぞれ詳しく解説します。
速度制限がある
ポケット型Wi-Fiのデメリットとしてまず気にしておきたいのが、速度制限がある点です。
ポケット型Wi-Fiでは月間のデータ通信量が契約プランに応じて決められているものがほとんどです。データ通信量がこれを超えると通信速度が大幅に制限されてしまうため、実質的にほぼWi-Fiが利用できなくなってしまいます。
また月間のデータ通信量以外にも、短期間での通信量にもとづく速度制限を課しているサービスも多く、3日間で10GBなどの定められた通信量を超えると同様に速度制限の対象とな る場合があります。
月間のデータ通信量にもとづく速度制限の場合は翌月になるまで制限がかかり続けますが、短期間での速度制限に関しては翌日中に速度が戻る条件が一般的です。
WiMAXのように、データ通信量を無制限としているものもありますが、こちらも完全に無制限というわけではありません。WiMAXも一定期間内に大量のデータ通信があった場合や回線の混雑する時間帯は、一時的に通信速度が制限される場合があります。
接続台数に限りがある
ポケット型Wi-Fiは接続台数にも実質的な制約があります。
ポケット型Wi-Fiルーターでは、スペック上は複数の端末による同時接続が可能です。実際に複数台の端末を繋ぐこともできますが、ポケット型Wi-Fiルーターの下記の特性上、固定回線と同じ感覚で使うのは困難です。
理由としては以下のことが挙げられます。
● 接続台数が増えるとデータ通信量の消費が早まる
● 接続台数が増えるとバッテリーの消耗が早まる
● ルーターのスペック上、接続可能台数そのものが少ない
接続する端末が増えることでデータ通信量が増えてしまうため、月間のデータ通信量が尽きてしまうのが早まってしまいがちです。また、接続台数が多いことでバッテリーが通常よりも早く消耗してしまい、ルーター自体が使えなくなるといったケースもあります。
ポケット型Wi-Fiルーターは大人数での利用には向かない通信機器で、個人または少人数での利用に最適化された製品であることは理解しておきましょう。
充電する必要がある
使用のためにはWi-Fiルーターの充電が必要なのも、ポケット型Wi-Fiのデメリットです。
充電が切れてしまうと使えなくなってしまうため、
● 常にフル充電にしておく
● 長時間使いそうな場合はモバイルバッテリーを持ち歩く
などの準備が必要になります。
またバッテリーは使用回数が増えるにつれて劣化が生じます。フル充電していても次第に駆動時間は短くなるため、使い勝手がどんどん悪くなっていくのもデメリットです。
さらには当月のデータ通信量にまだ残分があったとしても、充電が切れてしまうと使えなくなってしまいます。
Wi-Fiルーターという機器に縛られてしまうのは、ポケット型Wi-Fiの欠点といえます。
ポケット型Wi-Fiがおすすめな人
ここまでポケット型Wi-Fiのメリットとデメリットを紹介してきました。本記事で挙げたメリットやデメリットを考えた場合、ポケット型Wi-Fiをおすすめできる人として、下記のような人が挙げられます。
● 外でネットを利用する人
● 外で仕事をする人
● 光回線が使えない賃貸物件に住んでいる人
それぞれ解説します。
外でネットを利用する方
ポケット型Wi-Fiをおすすめできるのが、外でインターネットを利用したい人です。
現在ではスマホが普及したため、スマホを使ったネット接続も多く行われています。しかし、スマホでの接続は容量や使用できる端末に制約があり、思う存分ネットを使うにはやや制限が生じてしまいます。
ここでポケット型Wi-Fiを用意しておけば、スマホとは比較にならないほどの大容量の通信が可能になります。またポケット型Wi-Fiであれば多くの端末が接続できるため、利用する端末の制約もありません。
外にPCやタブレットを持ち出してインターネットを利用したい方、また屋外でも高画質の動画視聴やオンラインゲームなどを楽しみたい方にはおすすめです。
外で仕事をしたい人
自宅や職場以外で仕事をしたい人にも、ポケット型Wi-Fiはおすすめです。
最近ではZOOMなどを使ったリモートでの会議や打ち合わせの機会も増えてきました。また出先から大容量のファイルを送受信することも当たり前になっており、良質な通信環境の用意はビジネスを円滑に進めるうえで不可欠です。
Wi-Fi環境の整っていない自宅外、職場外で仕事をすることが多い場合、ポケット型Wi-Fiはぜひとも準備しておくべきアイテムです。
最近では公衆無線LAN(フリーWi-Fi)なども増えてきましたが、セキュリティの観点からはビジネスでの利用にはふさわしくありません。ポケット型Wi-Fiを用意しておくことは、万が一の情報漏洩の防止にも役立ちます。
5Gのネット回線が必要な方
5Gのインターネット回線が必要な方にも、ポケット型Wi-Fiはおすすめです。
ポケット型Wi-Fiの一つであるWiMAXでは、5Gの使用が可能となっています。※15Gはスマホの4G・LTE回線での接続と比較すると高速であり、固定回線を引くまでのつなぎとして利用する場合などにもうってつけです。
通信の種類(回線) | 通信速度(下り最大) |
スマホキャリア(4G・LTE回線) | 150Mbps※相当 |
WiMAX(WiMAX+5G回線) | 2.7Gbps※2 |
※1 5Gの対応エリアは一部です
※2 ベストエフォート方式のため、通信環境により実際の通信速度は変化します
光回線が使えない賃貸物件に住んでいる人
光回線が使えない賃貸物件に住んでいる人にも、ポケット型Wi-Fiはおすすめです。
賃貸物件の場合は規約で光回線が禁止されていることも少なくありません。これは光回線を引くためには開通工事が必要なためで、建物に加工が入る可能性があるためです。
光回線を新たに引く場合、建物の外から光回線を引き込む必要があり、そのため壁面などに加工が生じる場合があります。極力目立たないようにすることもできますが、建物を傷つける工事自体を好まない大家さんや管理会社は少なくありません。
このように固定回線が引けない場合にもポケット型Wi-Fiはおすすめです。
また光回線が引ける場合であっても、開通工事の日数が待てないようなケースもあります。仕事での利用や学校での授業開始に間に合わないような場合には、ポケット型Wi-Fiはおすすめです。
完全無制限のポケット型Wi-Fiはある?
ポケット型Wi-Fiで気になるのが「完全に通信制限のない容量無制限のポケット型Wi-Fiはないのか」ということではないでしょうか。
結論からいうと、現在は完全無制限のポケット型Wi-Fiはありません。
以前はデータ通信量による制限が完全にない「完全無制限」のポケット型Wi-Fiが複数存在していました。しかし、契約者数の増加にともないデータ通信容量が極端に増加してしまい、回線への負荷によって、大規模な通信障害を起こしてしまいます。
またそのほかにも在庫切れなどの複数のトラブルが続き、総務省からの行政指導が入ることになってしまいました。最終的にはすべてのポケット型Wi-Fiがプランの継続は困難と判断し、現在では完全無制限のポケット型Wi-Fiはありません。
しかし2022年に入り、WiMAXの新プランである「WiMAX+5G」が3日間15GBの短期間の通信制限を撤廃したことで、実質無制限のプランが新たに生まれることになりました。
なお「実質」無制限としているのは、過大なデータ量の通信が続いた場合、または回線が混雑した場合には通信を制限する可能性があるとしているためで、実質的にはほぼ無制限に近いかたちです。
完全無制限の代わりになる実質無制限※のポケット型Wi-Fiとは
ここからは完全無制限の代わりになる、実質無制限※のポケット型Wi-Fiを紹介します。
※一定期間内に大量のデータ通信の利用があった場合やネットワークの混雑する時間帯や状況によって通信速度が制限されることがあります
データ容量無制限※1のBroad WiMAX
最初におすすめしたいのが、データ容量無制限※1のBroad WiMAXです。Broad WiMAXは「ギガ放題バリュープラン」「ギガ放題フリープラン」(縛りなし)が、初月の月額料金1,397円~利用できるWi-Fiサービスです。
初月は端末発送日からの日割り料金となり、2カ月目からは「ギガ放題バリュープラン」が月額3,883円(税込)、「ギガ放題フリープラン」は4,070円(税込)となります。
2カ月目以降はずっと同じ料金で使い続けられるので「〇ヵ月目から料金が変わるから、合計金額は…」といった複雑な計算は不要です。誰でもわかりやすい料金体型となっていて、Wi-Fiサービスを利用したことのない人でも利用しやすいでしょう。
さらに、UQmobileのスマホと一緒に利用することでお得になります。「くりこしプラン+5GプランS・M」なら、UQ mobileの月額から638円(税込)割引。「くりこしプラン+5GプランL」をお使いの場合には、UQ mobileの月額から858円(税込)が割引となります。
ギガ放題バリュープラン | ギガ放題フリープラン | |
月間データ容量 | 制限なし | 制限なし |
月額料金(税込) | 初月1,397円 2カ月以降3,883円 | 初月1,397円 2カ月以降4,070円 |
事務手数料(税込) | 3,300円 | 3,300円 |
端末代金 | 一括払い:21,780円(税込) 分割払い:605円(税込) x 36回 | 一括払い:21,780円(税込) 分割払い:605円(税込) x 36回 |
契約期間 | 最低利用期間2年間 | なし |
通信速度(下り最大) | 最大2.7Gbps※3 | 最大2.7Gbps※3 |
通信速度(上り最大) | 最大183Mbps※ ※一部エリアで提供 | 最大183Mbps※ ※一部エリアで提供 |
発送までの日数 | 最短で即日端末 | 最短で即日端末 |
支払い方法 | ・クレジットカード ・口座振替 | ・クレジットカード ・口座振替 |
※1 一定期間内に大量のデータ通信の利用があった場合や、ネットワークの混雑する時間帯や状況によって通信が制限されることがあります。
※2 ベストエフォート方式のため、通信環境により実際の通信速度は変化します
※3 一部エリアで提供
3大キャリアを1台で使える大容量のTHE WiFi
THE WiFiもおすすめのポケット型Wi-Fiのひとつです。
正確には実質無制限ではありませんが、毎月100GBもの大容量の通信が可能で、国内の携帯電話3大キャリアの回線を利用できるクラウド型Wi-Fiというしくみを採用しているのが特徴です。
クラウド型Wi-Fiでは、通信回線の混雑具合や接続台数に応じてクラウドサーバー上で自動的に回線を切り替えてくれます。また3キャリアのエリアを使えるため、通信品質が安定しているのという特徴があります。
THE WiFi | THE WiFi | |
月間データ容量 | 100GB | 100GB(上限) |
月額料金(税込) | 3,828円~ | 1,298円~/1GBまで 1,628円~/5GBまで 2,068円~/20GBまで 2,596円~/40GBまで 3,960円~/100GBまで |
登録事務手数料(税込) | 3,300円 | 3,300円 |
端末代金(税込) | 0円 | 0円 |
契約期間 | 24か月 | 24か月 |
通信速度(下り最大) | 150Mbps※3 | 150Mbps※3 |
通信速度(上り最大) | 50Mbps※3 | 50Mbps※3 |
発送までの日数 | 最短即日 | 最短即日 |
支払方法 | クレジットカード | クレジットカード |
※3 ベストエフォート方式のため、通信環境により実際の通信速度は変化します
代理店経由で申し込みすると格段に安くなるモバレコAir
モバレコAirはプロバイダ(代理店)経由で提供されているSoftBankAirで、名前が違うだけで実質的な中身はSoftBankAirと変わりません。
ただし、モバレコAirはプロバイダの株式会社グッド・ラックを経由して提供されているため、各種キャンペーンの適用などによってSoftBankAirよりも安く契約できるのがポイントです。
ホームルーターの導入を検討している人で、少しでも支払い金額を抑えたい場合は、ぜひモバレコAirを検討してみましょう。
モバレコAir | |
月間データ容量 | 無制限(※7) |
月額料金(税込) | 1,320円~ |
事務手数料(税込) | 3,300円 |
回線工事費用 | 0円 |
端末代金(税込) | 1.980円(購入36回払い※8) |
契約期間 | なし |
通信速度(下り最大) | 2.1Gbps※9 |
通信速度(上り最大) | 非公開 |
発送までの日数 | 審査後発送(到着まで最短3日) |
支払方法 | クレジットカード・口座振替 |
※7 一定期間内に大量のデータ通信の利用があった場合や、ネットワークの混雑する時間帯や状況によって通信が制限されることがあります。
※8 一括払い・12回・24回・36回・48回から選択可能。別にレンタルもあり。
※9 ベストエフォート方式のため、通信環境により実際の通信速度は変化します。
ポケット型Wi-Fiを選ぶ際に注意するポイント
ポケット側Wi-Fiを選ぶ際に注意すべきポイントについて解説します。
ポイントは以下の4つです。
● 費用の総額
● データ通信量
● 対応エリア
● 契約期間
それぞれ解説します。
費用の総額
ポケット型Wi-Fiを契約する際にまず考えたいのが、支払わなければならない費用の総額です。
ポケット型Wi-Fiには契約期間があるものとないものがあり、契約期間がある方が月額料金は安くなります。
ただし、契約期間内に解約した場合は解約金がかかるため、とくに短期での利用においては契約期間に縛りのないものがおすすめです。
しかし契約期間の縛りのないものは、その分月額料金がやや高く、長期間使い続けた場合は逆に費用が高くついてしまいます。
費用をなるべくかけないようにするためには、まず自分がどのくらいの期間でポケット型Wi-Fiを必要としているのか、また途中解約をする可能性があるのかなどを考えてみることが大切です。そしてそれにもとづいて計算することで、費用の総額が仮計算できます。
またその際は、複数のポケット型Wi-Fiで試算をしてみると、より安いものを選ぶことができます。
ポケット型Wi-Fiによってはキャンペーンやキャッシュバックを実施しているので、適用条件や受取方法をよく確認して、全体の費用に含めて考えるのがおすすめです。還元される費用などを全体の計算に組み入れることで、実質的な総額を正確に比較できます。
データ通信量
ポケット型Wi-Fiを選ぶ際は、データ通信量も注意すべき要素です。契約する際は、自分が必要とするデータ通信量にあったプランを選ぶようにしましょう。
実際に使うデータ通信量と著しく離れていると、極端に多く余ったり足りなくなってしまったりします。自分の毎月の通信量を調べ、その数値の収まるプランで契約すると失敗がありません。
よくわからない場合は、契約期間の縛りのないポケット型Wi-Fiを使ってみて、その実績で判断するのもおすすめです。
なお、あまりギリギリのデータ通信量を選ぶのはおすすめしません。というのも、毎月のデータ通信量を使い切ってしまった際、場合によってはデータの追加購入をすることになり、逆に高くついてしまうからです。
少し余裕があるくらいのデータ通信量で契約するのが上手なプラン選びのコツです。
対応エリア
対応エリアもよく確認しておきたい要素です。自分がポケット型Wi-Fiを使う場所がWi-Fiのエリアになっているかも確認しておきましょう。
基本的には都市部であればどのポケット型Wi-Fiでもエリアの範囲に入っているはずですが、建物の周辺の環境や利用する部屋の位置によっては、外からのWi-Fiの電波が届きにくいことがあります。
WiMAXなどの一部のポケット型Wi-Fiでは、公式サイトで対応エリアを表示しているほか、確認用のルーターの貸し出しを行っています。公式からエリアの判定の手がかりを得られるため 、上手に活用することをおすすめします。
また地方で人口の少ない地域は、エリアの範囲に含まれていない可能性もあります。公式サイトやネットの投稿サイトを手がかりに電波状況を把握しておきましょう。
契約期間
前述の「費用の総額」でも触れたように、契約期間はポケット型Wi-Fiのコストや使いやすさにダイレクトに関係してくる大切な要素です。
とくに契約期間の長いプランに入る場合は、途中解約の可能性をよく考えたうえで、慎重に契約を判断してください。
ポケット型Wi-Fiではおおむね下記の4種類の契約期間でプランが構成されています。
● 契約期間なし
● 1年間
● 2年間
● 3年間
短期のものから長期のものまであるので、利用予定にあったポケット型Wi-Fiを選びましょう。
まとめ
本記事ではポケット型Wi-Fiについて解説するとともに、導入した場合のメリットとデメリットについて解説しました。
ポケット型Wi-Fiは使い方と利用の条件にあったものを選ぶのが上手な利用のコツです。またWi-Fiということで専門的な雰囲気につい身構えてしまいがちですが、正しい事前知識があれば誰でも簡単に利用を始められます。
ぜひ本記事を参考に、ご自分の利用の仕方にぴったり合ったポケット型Wi-Fiを選んでいただければと思います。
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